【第56回保健師コラム】
~自分も相手も大事にするコミュニケーション~

みなさま、こんにちは。健保・保健師の肥後です。日々の業務お疲れ様です。

突然ですが、あなたの職場では、コミュニケーションは円滑ですか?
様々な研究から、コミュニケーションが円滑であり、従業員一人一人の心理的安全性が確保できている職場では、より高いパフォーマンスが発揮できることが分かっています。そのため、ヤマトではY-VOICE(社員意識調査)が実施され、結果に基づき、みなさん各々のお立場で様々な職場改善への取り組みをなさっていることと思います。

今回は、コミュニケーションにおける基本的な技術である「アサーション」を取り上げます。

既にご存知の方も多いかと思いますが、改めてお読みいただけたら嬉しいです。

アサーションとは

「相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適した表現で伝えるコミュニケーション法」のことです。サラッと書いていますが、簡単なことではないですよね。

具体的な技術としてよく言われるのは、アイメッセージで話しましょうということです。例えば、「これをやるのがあなたの仕事です」という、あなたを主語にした伝え方ではなく、「わたしはこれをやってもらえると助かります」など、わたしを主語に伝えましょう、というものです。 アイメッセージのメリットは、相手を攻撃せずに済むため、やわらかな表現で伝わりやすいということです。
 

技術を得るのに遅いということはない

コミュニケーションは毎日のことでありながら、また職場や家庭問わずどこでも生まれる行為でありながら、その方法について学ぶ機会は意外とないものです。また、トップダウンが当たり前だった時代から変化し、今では目下の相手に対しても配慮した伝え方が求められています。
自分も相手も大事にしたコミュニケーションを心掛けるだけでも、まずは一歩を踏み出していると言えます。「相手への寄り添い方がわからない」といったお声を聴くことがありますが、まずはアイメッセージで「自分を主語にする」「自分の気持ちを言葉にする」ことから始めていただけると良いのではと思います。
 

対人支援の現場での経験談

ユーメッセージを多用していると、時に物事を決め付けたり、相手の人格を攻撃することにつながりかねません。最後に、わたしが以前対人支援の現場で勤務していた時のエピソードをお伝えします。

若いAさんが、トイレに籠って出てこなくなった、という状況が起きました。入れ代わり立ち代わり、スタッフが声をかけますが、「ずっとそこに入っていると、他の人が使えないよ」とユーメッセージで話しかけ続け、挙句の果てに「こういうことがあると、もうリハビリを使えなくなっちゃうよ」と、脅しにも似た文句を使ってしまいました。Aさんは何も言わず、出てきません。

たまたま少しアサーションについて学んでいた私は、「このままだと、私が休憩に入れなくて困ってしまいます。ご飯食べたいです」と話しかけてみたところ、Aさんはすんなり出て来てくれたのです。自分の気持ちを隠さず、率直に伝えた方が、意外と相手は動いてくれるのかもしれないと思わされる出来事でした。


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それでは次回も、お楽しみに。

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